概要
豊饒の女神・大地母神の性質を持つ、ヨグ=ソトースの妻であるとも言われる正体不明の存在。
崇拝儀式の文句に登場している深い森の奥で、異星種族とそれに仕える人間によって行われる。この儀式は、西洋において悪魔崇拝とみなされた魔女の集会、いわゆるサバトである。
「山羊」がシュブ=ニグラスを象徴するのも、古代宗教において豊穣の象徴と崇拝され、キリスト教によって悪魔・サバトの中心とされたモチーフに由来する。
創造者であるラヴクラフトは名前だけを示して作中に登場させず、「黒い雲の様に巨大である」としか語っていない。
いずれにおいても豊穣神・母神としての性格を残し、ナグとイェブをはじめ多くの子神を残している。
作品によっては、「洗練されたアシュタロトのようなもの」と形容されている。
別名
- 「千匹の仔を孕みし森の黒山羊(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young)」
- 「狂気産む黒の山羊」
- 「黒き豊穣の女神」
- 「万物の母」など
出自
シュブ=ニグラスはアザトースからナイアーラトテップ、「無名の霧」と共に産み出された「闇」から出で、「無名の霧」から出でたヨグ=ソトースとの間に恐ろしき双子ナグとイェブを儲けたとされる。
アザトースが最初に創造した「闇」から生まれたとも、アザトース自身が生んだとも言われている。
オーガスト・ダーレスはハスターの妻であるとしているため、作品によって立場が大きく変化する。
容姿
作中内で直接的な描画はされていないため、想像されている姿は泡立ち、ただれている塊と雲の一部が融合して体が形成されているのではないかといわれている。
黒い触手や粘液を垂れ流す口、先端が蹄になったねじれた足などの形を形成していると考えられ、そんな姿から〈山羊〉を連想させたのではないかと考えられる。
山羊のような生き物を表したものの、はっきりとした違和感・不自然さを持っており、何本かの触手があって、見誤りようのない冷笑的な、しかし人間的な感情を持った像であるとされている。
多足に支えられた白い肉の柱として顕現し、頭頂部には無数の目と巨大な嘴を持つ。
作品との関係
初出は『闇に囁くもの(The Whisperer in Darkness)』
ラヴクラフトとヘイゼル・ヒールドの合作『永劫より(Out of the Eons)』において
古代ではムー大陸で崇拝されていたと言及されている。
また、ゼリア・ビショップとの合作『墳丘の怪(The Mound)』においては地底世界クン・ヤンの住民に崇拝されている。
パンの大神・パンの子
イギリスの小説家 アーサー・マッケンの作品「パンの大神」 (Great God Pan) に登場。
シュブ=ニグラスは、ときに人間の女と交わり「パンの子ら」を産むとされ、彼らは誰もが美男美女の姿をしているという。
子神たち
また、アザトースが創造した「無名の霧」から生まれたヨグ=ソトースとの間に「恐ろしき双子」ことナグとイェブを生んだ。
女神ではあるがサバトの雄山羊と同一視されるなど男神としての側面も有しており、女性に子供を産ませたりもしている。
長女にして性魔術を司る旧支配者、ウトゥルス=フルエフルは蛇神のイグとの間に生まれた娘。
またニャルラトホテプの従妹にあたるマイノグーラと交わり、悪名高きティンダロスの猟犬を生み出している。
クトゥルフ神話
オーガスト・ダーレスによってクトゥルフ神話が体系化されると、シュブ=ニグラスは〈旧支配者〉の一柱、「地」を象徴する存在の一員と位置づけられた。
また、ラヴクラフト時代の神話を受けついで豊穣を司り、仔を産み続ける地母神とする設定も残っている。
先述した通り、ヨグ=ソトースのみならずハスターの妻であるとされることもあるが、これは『墳丘の怪』における「名づけられざるものの妻」との記述が、のちにダーレスの作品でハスターが「名づけられざるもの」と称されていることと結びつけられたことが由縁。
CoC[Call Of Cthulhu]にて
クトゥルフ神話をテーマにしたテーブルトークRPG『クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)』における設定では、その姿は泡立ち爛れた雲のような肉塊で、のたうつ黒い触手、黒い蹄を持つ短い足、粘液を滴らす巨大な口を持つとされる。
人間の女性に変身可能だが変身すると脳まで人間のものになるので、思考も人間レベルに制限され感情に振り回されてしまいがちになり、そうなった時に人間に変身していたハスターと恋愛ドラマを繰り広げることが多い。
黒い仔山羊と呼ばれるシュブ=ニグラスの落とし子が存在し、関連書籍によってはそれが信者にとっての貴重な蛋白源となったことが崇拝の源になったとも紹介されている。
ヨグ=ソトースとの間の系譜はクトゥルーやツァトゥグァに繋がるとしている。
「ヴァルプルギスの夜」の魔宴で崇拝され、ネクロノミコンには「仔を産み続け、なべての森のニュンペー(ニンフ)、サテュロス、レプラコーン、矮人族を支配せん」との記述が見られる。
サバトやアシュタロトにくわえ、世界各地の山羊の崇拝、ヘカテー崇拝、ドルイド信仰とも結びつけられている。
信者に捧げられた生贄の人間を飲み込み、人と山羊を混ぜ合わせたような奉仕種族「シュブ=ニグラスに祝福されしもの(ゴフ=フパデュ=シュブ=ニグラス)」に作り変えてしまう。
見目麗しい美少年、人間と山羊をかけあわせた怪物サテュロスといった顔を持つが、真の顔を見たものは例外なく発狂してしまう。
稀に人間の女との間に子を為すが、女は発狂を免れ得ず、生まれた子は美しい容貌と残忍な気質、他者の精神を支配する異能を持つ。
ほとんどドリームランドに居ることが多く、原初の人間に豊穣の神として崇拝されていたといわれている。
CoC ステータス
能力値名 | 数値 |
STR | 72 |
CON | 170 |
SIZ | 120 |
INT | 21 |
POW | 70 |
DEX | 28 |
移動 | 15 |
耐久力 | 145 |
ダメージ・ボーナス:+11D6
武器
- 触肢:100% ダメージ 自動的に引っ掛ける
- 踏みつけ:75% ダメージ 11D6
- 噛みつき:100% ダメージは1ラウンドにつき1D6STRの吸収
装甲
呪文
外なる神に関連する呪文を全て知っている。
気に入った者には《門の創造》《アザトースの呪詛》《ヴールの印》を教えることもある。
正気度喪失
シュブ=ニグラスを見て失う正気度は1D10/1D100
キャラシ
シナリオ
憂い湛えし黒山羊の哀歌
作者:踊る黒山羊教団 様 Twitter:@DancingDarkGoat
舞台 | 現代日本、シティ・シナリオ |
プレイ人数 | 2~4人以上 |
プレイ時間 | 約2~4時間 |
キャラロスト | 場合によっては |
推奨技能 | 目星、聞き耳、図書館、戦闘技能 |
関係
- ナグ
- イェグ
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