シュブ=ニグラスとは?黒い豊穣の女神を徹底解説

クトゥルフ神話
クトゥルフ神話
スポンサーリンク

漆黒の森に潜む“豊穣”の神──シュブ=ニグラスとは?

クトゥルフ神話におけるシュブ=ニグラスは、他の神々とは一線を画す“豊穣”の象徴として、深い謎と恐怖に包まれた存在です。「千の仔を孕みし森の黒山羊」という異名で知られ、その姿や性質、崇拝方法も作品ごとに多様に描かれています。

一見すると生命と実りをもたらす母なる存在。しかし、その「豊穣」は人知を超えた異形の繁殖、そして狂気の拡がりと背中合わせ。この記事では、神話におけるシュブ=ニグラスの位置づけから、TRPG・創作での活用例まで、多面的な側面を網羅的に解説していきます。

「彼女」をどの角度から描くかは、あなた次第。
この記事が、未知の神格に迫る旅のガイドとなれば。。。

シュブ=ニグラスとは?【基本プロフィール】

シュブ=ニグラス(Shub-Niggurath)は、クトゥルフ神話に登場する神格のひとつで、「千の仔を孕みし森の黒山羊(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young)」という異名で知られています。

この名前からもわかるように、彼女は生命の繁殖と増殖、そして恐ろしい異形の存在たちを無限に生み出す母体のような存在として描かれています。

とはいえ、ラヴクラフト自身の作品には直接の登場は少なく、主に名前だけが登場する「言及される存在」にとどまっています。そのため、詳細な描写や設定は、後続の神話作家たちによって補完・拡張されていきました。

  • 種族分類:外なる神(Outer God)に分類されることが多い
  • 性質:豊穣・母性・異形・邪悪・混沌
  • 姿:黒く粘液質の巨大な塊のような姿で描かれることが多く、足元には触手や無数の仔が蠢くイメージが主流
  • 信仰:一部のカルト集団により「女神」として崇められ、生贄儀式や召喚の呪文などが伝えられている

このように、**神聖さと恐怖を併せ持つ“黒い母”**ともいえるシュブ=ニグラスは、クトゥルフ神話の中でも特に「創造」と「堕落」が共存した、異色の神格と言えるでしょう。


  • 冒頭で「異名」をフックに興味を引く
  • 「直接登場が少ない」という点を逆に神秘性として強調
  • 読者が創作や考察に使いやすい情報(分類・性質・姿・信仰)を整理
  • 神秘性と恐怖のバランスを意識した文体

異名「黒い山羊」や「千の仔を孕みし森の黒山羊」の意味

シュブ=ニグラスを語るうえで外せないのが、その異名──

「黒い山羊(The Black Goat)」

**「千の仔を孕みし森の黒山羊(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young)」**です。

この異名は、彼女の神格的な性質を象徴的に表しています。

まず「黒い山羊」は、古代から続く宗教や神秘思想において、豊穣・生贄・異界との境界を象徴する動物です。中でも黒い山羊は、しばしば「禁忌」や「背徳」を象徴する存在として扱われてきました。

一方「千の仔を孕みし」という表現には、無限の繁殖力・異常な多産性が込められています。この“千の仔”は、しばしばシュブ=ニグラスが生み出す異形の怪物たち、あるいは信徒や眷属を指すと解釈されます。

そして「森の黒山羊」という形容は、彼女が森の奥深く、文明から隔絶された自然の原始的な力を体現していることを暗示します。人知の及ばぬ神聖で危険な領域に根差した存在なのです。

この異名が示すもの:

  • 母性と怪異の融合
  • 信仰と恐怖の両義性
  • 自然と異界の交差点としての森

これらの要素は、創作においてもキャラクターや宗教設定に深みを与えるヒントとなります。異名から漂う神話的イメージを膨らませて、自分だけの「黒い山羊像」を描いてみてください。

このように、単なる名前以上の情報を内包した異名は、シュブ=ニグラスという神格の理解を深める重要な鍵です。

クトゥルフ神話における役割と立ち位置

シュブ=ニグラスは、クトゥルフ神話における**「外なる神(Outer Gods)」**のひと柱として登場します。

この分類は、宇宙的存在であり、人間の価値観や善悪を超越した“上位存在”たちを指すものです。

その中でもシュブ=ニグラスは、「生命の増殖」や「腐敗と繁殖の神秘」を象徴する女神的ポジションにあります。 ラヴクラフト自身は彼女について多くを語っていませんが、後続の作家たちによってその存在感が次第に強まり、やがて“異形なる母”としてのアイデンティティが定着していきました。

特徴的な立ち位置:

  • アザトース(宇宙の中心にして混沌)やヨグ=ソトース(全時空の門)と同格の存在
  • 直接的な破壊ではなく、「繁殖・蔓延・同化」を通じた侵食的影響を持つ
  • 信仰を集める「カルト宗教」が複数存在し、神話世界における“実在感”が強い

彼女はまた、「地球と接触頻度の高い外なる神」としても知られており、特に森や洞窟など自然に近い場所での召喚儀式がよく描かれます。

これは、原始的で野蛮な信仰が彼女の本質にマッチしているためと考えられています。

なぜこの神格が重要なのか?

シュブ=ニグラスは、「破壊者としての恐怖」ではなく、

**「止めどない繁殖と同化という“逃れられない運命”としての恐怖」**を体現しています。

このため、クトゥルフ神話における彼女の役割は、

  • 「生と死を超えたサイクル」
  • 「人間社会の外側に潜む異文化・異種族の恐怖」
  • 「神の子らによる侵食的な現実の歪み」

といったテーマを描くうえで非常に有効です。

創作視点でのヒント:

彼女の存在は、文明から外れた土地でのカルト宗教、寄生や繁殖をテーマにした怪異、母性と狂気の融合といったアイディアの核として非常に使いやすいモチーフとなります。

シュブ=ニグラスの登場作品一覧【原典と派生】

クトゥルフ神話における「シュブ=ニグラス」の登場作品を、以下のように原典と派生作品に分けて紹介します。

原典作品(ラヴクラフトおよび同時代の作家)

作品名作者初出年解説
The Whisperer in DarknessH.P.ラヴクラフト1931年作中で名前のみ登場し、信仰対象として言及される
The Dunwich HorrorH.P.ラヴクラフト1929年明確には登場しないが、関連する存在と目される
The Moundゼリア・ビショップ(原案)、H.P.ラヴクラフト1940年地下世界で信仰される女神的存在として描写
Out of the Aeonsヘイゼル・ヒールド & ラヴクラフト1935年関連神話生物の存在を示唆

クトゥルフ神話TRPGでの登場

  • 『クトゥルフの呼び声(基本ルールブック)』
    • 邪神のひとりとして設定。
    • 「千の仔を孕みし黒山羊」として登場。
  • 各種サプリメント
    • 例えば『クトゥルフ・ナウ』や『マレウス・モンストロルム』などに詳細なデータあり。

CoC ステータス

能力値名数値
STR72
CON170
SIZ120
INT21
POW70
DEX28
移動15
耐久力145

ダメージ・ボーナス:+11D6

武器
  • 触肢:100% ダメージ 自動的に引っ掛ける
  • 踏みつけ:75% ダメージ 11D6
  • 噛みつき:100% ダメージは1ラウンドにつき1D6STRの吸収
装甲
呪文

外なる神に関連する呪文を全て知っている。

気に入った者には《門の創造》《アザトースの呪詛》《ヴールの印》を教えることもある。

正気度喪失

シュブ=ニグラスを見て失う正気度は1D10/1D100

キャラシ

その他の派生作品(ゲーム・小説・漫画など)

作品名・シリーズ媒体解説
ダークソウルシリーズゲーム元ネタとして名前や概念が引用されていると考えられているキャラが登場
メガテン(女神転生)シリーズゲーム邪神として登場する作品あり
ラヴクラフト系アンソロジー小説国内外問わず多数
邪神ちゃんドロップキックなど漫画・アニメパロディ的に登場することも

このように、「シュブ=ニグラス」は原典の直接登場は少ないものの、その神性や異名がさまざまなメディアで引用・拡張され、クトゥルフ神話の象徴的存在の一角を担っています。

ラヴクラフト作品における登場

シュブ=ニグラスは、クトゥルフ神話に登場する外なる神の一柱であり、ラヴクラフトの作品をはじめ、クトゥルフ神話の多くの物語にその存在を刻んでいます。彼女の描写は、神話体系内で非常に特異であり、物語やキャラクターに多大な影響を与えることが多いため、その登場シーンは注目されています。

1. 『狂気の山脈にて』(1936年)

ラヴクラフトの短編小説『狂気の山脈にて』では、シュブ=ニグラスの名前は直接登場しませんが、彼女の影響が間接的に描かれています。物語の舞台となるアンタークティカの廃墟では、シュブ=ニグラスに関連する神々や儀式の痕跡が発見され、彼女の存在が暗示されます。特に、彼女が「黒い豊穣の女神」として崇拝されていたことを示唆するシーンがあり、その神秘的な力が登場人物たちに恐怖と混乱をもたらします。

2. 『ダンウィッチの怪』

『ダンウィッチの怪』では、シュブ=ニグラスの影響を色濃く受けた儀式が行われ、彼女の黒い山羊のイメージが登場します。この物語では、シュブ=ニグラスが「黒山羊」として登場し、その神々しい力が、物語の重要な部分を形成しています。人々がシュブ=ニグラスに捧げる祭りや儀式の描写は、彼女の神格を強調し、その力がどれほど強大であるかを示しています。

3. 『アーカムの恐怖』

さらに、シュブ=ニグラスの神話的な影響を受けた儀式が『アーカムの恐怖』でも描かれています。この作品では、シュブ=ニグラスが他の神々とともに登場し、彼女の異名である「千の仔を孕みし森の黒山羊」のイメージが強調されています。登場人物たちは彼女の神々しい力を恐れ、神話的儀式がどれほど恐ろしい結果を招くかを描写します。

4. クトゥルフ神話TRPG

シュブ=ニグラスはクトゥルフ神話TRPGにも登場し、その存在はプレイヤーたちに強い影響を与えます。TRPGのシナリオでは、シュブ=ニグラスを崇拝する邪教集団が登場し、彼女の異名や神格がプレイヤーたちの冒険に深い影響を及ぼします。また、彼女に関連する儀式や祝祭が物語の重要な要素となり、プレイヤーたちはその神秘的な力に対抗する方法を探さなければなりません。

5. 映画やゲーム

シュブ=ニグラスの影響は、ラヴクラフトの作品にとどまらず、後世の映画やゲームにまで及びます。彼女の神格や異名は、現代のホラー作品やゲームにおいても頻繁に引用されており、その強烈な存在感がしばしば恐怖の源となります。特に、ホラーゲームやファンタジー作品において、シュブ=ニグラスの影響を受けたキャラクターやストーリーラインが展開されることがあります。

TRPG「クトゥルフ神話TRPG」での扱い

『クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)』におけるシュブ=ニグラスは、泡立ち爛れた雲のような肉塊を持ち、黒い触手や黒い蹄を持つ短い足、巨大な口から粘液を滴らせるという恐ろしい姿で描かれています。彼女は人間の女性に変身する能力を持つものの、その変身によって思考が人間レベルに制限され、感情に振り回されやすくなります。特に、シュブ=ニグラスがハスターに変身して恋愛ドラマを繰り広げることがよくあります。

また、黒い仔山羊(シュブ=ニグラスの落とし子)が登場し、関連書籍によれば、その仔山羊は信者にとって貴重な蛋白源となり、その供物としての役割が崇拝の源となったとも言われています。シュブ=ニグラスの系譜は、ヨグ=ソトースからクトゥルーやツァトゥグァに繋がっているとされています。

シュブ=ニグラスは「ヴァルプルギスの夜」の魔宴で崇拝され、ネクロノミコンには「仔を産み続け、森のニュンペー(ニンフ)、サテュロス、レプラコーン、矮人族を支配する」と記されていることもあります。さらに、彼女はサバトやアシュタロトをはじめ、世界各地の山羊信仰やヘカテー崇拝、ドルイド信仰と結びつけられています。

信者に捧げられた生贄の人間は、シュブ=ニグラスにより変容し、人間と山羊を融合させた奉仕種族「シュブ=ニグラスに祝福されし者(ゴフ=フパデュ=シュブ=ニグラス)」が生まれます。これらの者たちは、美少年のような姿や人間と山羊が融合した怪物サテュロスのような外見を持つことが多いですが、その真の顔を見る者は例外なく発狂してしまいます。

シュブ=ニグラスはドリームランドに現れることが多く、原初の人間に豊穣の神として崇拝されていたという伝承もあります。稀に人間の女性との間に子を為すことがありますが、その女性は発狂し、産まれた子どもは美しい容貌を持ちながらも残忍な気質を持ち、他者の精神を支配する異能を有するとされています。

ゲーム・小説・漫画に登場した例

1. ゲーム

  • クトゥルフの呼び声(TRPG) 重要な神として登場。プレイヤーが関わることは少ないが、その影響は強力。
  • Cthulhu Wars シュブ=ニグラスはプレイヤーキャラクターとして登場し、強力な神の力を使って他の神々と戦う。

2. 小説

  • クトゥルフ神話(H.P.ラヴクラフト) 直接的には登場しないが、崇拝者や儀式を通じて影響を及ぼす。
  • リム・オブ・サターン(イアン・リー) 直接登場し、重要な役割を果たす。

3. 漫画

  • 神々の法則(新井輝) 彼女の信者たちや神殿が登場し、恐怖を与える存在として描かれる。
  • ジョジョの奇妙な冒険 直接登場しないが、シュブ=ニグラスに影響を受けたキャラクターやモンスターが登場。

他の旧神・外なる神との関係

アザトースとの関係

シュブ=ニグラスは、アザトースとも深い関係があるとされています。アザトースは「最も原始的で混沌とした存在」として知られ、シュブ=ニグラスはその影響を強く受けた存在とされています。彼女の強力な力は、アザトースの無秩序で狂気的な影響を反映したものとして描かれることが多く、その関係は神々の秩序を超えた絶対的な力として理解されています。

ヨグ=ソトースやナイアーラトテップとの関連性

シュブ=ニグラスは、ヨグ=ソトースやナイアーラトテップとも密接に関連しています。ヨグ=ソトースは、時空を超越し、宇宙のすべてを知る存在として描かれます。シュブ=ニグラスの力が広がりを持つ理由の一つとして、ヨグ=ソトースとの繋がりがあり、彼女の存在は宇宙の深層的な力を体現しているとされます。

また、ナイアーラトテップとの関係も重要です。ナイアーラトテップは、神々の意志を直接地上に反映させる存在であり、シュブ=ニグラスと協力してその力を強化し、神々の意図を人間界に影響を与える役割を担っています。二者の間には協力関係がある一方で、複雑で不安定な力の相互作用も見られます。

創作での使い方ヒント:異名・属性・設定例

異名を活かしたキャラ設定

シュブ=ニグラスの異名を活かすことで、キャラクター設定に深みを加えることができます。例えば、「黒い山羊」や「千の仔を孕みし森の黒山羊」といった異名は、キャラクターのビジュアルや背景に独特な個性を与えます。これらの異名をキャラクターに反映させることで、神話的な威厳や恐怖感を演出することができます。たとえば、山羊の姿を持つキャラクターや、森を支配する神秘的な存在として設定し、その異名にふさわしい背景を作り上げることが可能です。

種族・宗教・儀式などの創作活用例

シュブ=ニグラスの神話的な属性を活かした種族や宗教、儀式などを創作に取り入れることができます。彼女を信仰する教団やカルト、儀式を描くことで、物語に深い神話的な背景を与えることができます。たとえば、「シュブ=ニグラスに捧げられた生贄」をテーマにした儀式や、信者が彼女の力を授かる場面を描くことができます。

また、「仔山羊」や「シュブ=ニグラスに祝福されしもの」といったキャラクターを創作に活用することもできます。彼らはシュブ=ニグラスの血を引いた者やその力を受け継いだ者として登場し、物語における強大な力を象徴する存在となります。異種族や半神的な存在として、シュブ=ニグラスに関連したキャラクターを描くことで、神話の深層に触れることができます。

まとめ:シュブ=ニグラスは多面的な神格

どの視点で語るかによって姿が変わる存在

シュブ=ニグラスは、単なる「邪悪な神」という枠に収まることなく、さまざまな視点から異なる姿を見せる神格です。彼女は「黒い山羊」や「千の仔を孕みし森の黒山羊」といった異名を持ち、その姿はしばしば恐怖や畏怖を抱かせる存在として描かれますが、同時に豊穣や繁殖、生命のサイクルに関する神でもあります。そのため、彼女の象徴するものや姿は、視点や立場によって大きく異なります。

シュブ=ニグラスをどの視点で捉えるかによって、彼女の役割や象徴する意味も変化します。例えば、信者にとっては生命力の源として崇拝される一方で、敵対する者にとっては恐怖の象徴となり、物語の中では恐ろしい力を持った存在として描かれることが多いです。シュブ=ニグラスはその多面性を通じて、創作においても非常に魅力的で多層的なキャラクターとして活用できる存在です。

関連リンク集

  • ナグ
  • イェグ
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました