データ
英・羅:Cerberus
語源はギリシャ語の「穴の悪魔」の意味を持つ[Kèrberos]か「角を持つ」の[ker-]に関係している模様。
出自(生まれ)
- ギリシャ=ローマ神話…冥界
- キリスト教教義…動物寓意譚
- 錬金術
時代:神話時代
容姿
- 三頭の犬
- 蛇の尾
- 頸部から蛇が生えている
概要
冥界の入り口にある河の対岸を住処とし、ハデスのために許可なく立ち入ろうとする者や逃げ出そうとするものを見張っている番犬。
ヘシオドスの『神統記』ではエキドナとテュポーンの息子として登場する。
一般的なケルベロス像である三頭とは異なり、背中(一説には頸部)には蛇の頭が五〇も生えて、生肉を喰らい、青銅の声をしているとされている。
図解ヨーロッパ怪物文化誌辞典 p92
同書七六九−七七三行目には、冥界にあるハデスとペルセポネの館の前で見張り番をし、館に入る者には等しく尾と両耳で甘えるが、いざ出ていこうとすると容赦なく捕らえ、貪り喰うともある。
図解ヨーロッパ怪物文化誌辞典 p92
ヘラクレスの十二の試練の最後としても登場。傷つけなければ連れ帰っても良いとハデスの許可が降り、力ずくで生け捕りに成功。エウリュステウス王の元に連れ帰った。
地上に出たケルベロスが太陽の光に驚き、吠えた時の唾液が落ちた地面から毒草トリカブトが生えたとされている。
また亡き妻エウリュディケを冥界から取り戻そうとしたオルペウスは得意の竪琴を奏でると大人しくなり無事冥界の門を突破している。
巫女シビュレが冥界を案内する際にケルベロスに遭遇。ケシと蜂蜜を混ぜた菓子を与えて眠らせ通過している。
このことからギリシャ・ローマ人は死者の手にパンを持たせることでケルベロスへの賄賂にしたという。
Give a sop to Cerberus (ケルベロスにパンを与える)
と今日でも使われ、「賄賂を送る」などの意味を含んでいる。
ルネサンスの新プラトン主義者たちは「神の三重の力」を予示する者と解釈したらしい。
また魂の死後の三段階である「保存」「再生」「霊化」を示すともされている。
関連
- エキドナ (母)
- テュポーン (父)
- キマイラ (姉)
- オルトロス (弟)
- ラードーン (弟)
- ヒュドラ (弟)