七つの大罪の「暴食」を司る
別名「ハエの王」「糞山の王」「追放された偉大なる王」「魂を支配する者」
成立
元々、旧約聖書の列王記(下)に登場する”バアル・ゼブル”だった。意味は”高き館の王”
これをヘブライ人が揶揄してバアル・ゼブブ = 蠅の王と呼んだのが始まり。
ベルゼブブと神話における役割
その名は古代セム系の神「バアル・ゼブル(Baal-Zebul)」に由来し、後に「バアル・ゼブブ(Baal-Zebub)」と変化しました。元々は豊穣や天候を司る神として崇拝されていましたが、ユダヤ教やキリスト教の文脈では悪魔として描かれるようになりました。
- 旧約聖書の記述
「バアル・ゼブブ」という名前は、『列王記下』でペリシテ人の都市エクロンの神として登場します。ユダヤ教の神学者たちはこの神を「邪悪な偶像」と見なし、後の悪魔学では地獄の高位悪魔として位置づけられました。 - キリスト教神話における役割
ベルゼブブはルシファーやアスタロトと並び、地獄の三大悪魔の一角を担う存在として描かれています。また、彼は堕天使の一人であり、地獄の軍団を統率するリーダー的な存在でもあります。
実力者の悪魔
序列でも上位に立つ悪魔。サタンやルシファーとも並ぶ。
新約聖書のマタイ、マルコ、ルカの福音書でイエスが目の不自由な人を癒すシーンで”イエスの癒しの力は「悪魔の頭、ベルゼブブ」の力である”と批判する人が現れる。イエス自身もベルゼブブを悪霊の頭と認識している。
17世紀に入るとベルゼブブの名前は「真正奥義書」「大奥義書」等の魔導書に頻出するようになっていく。
悪魔学でもルシファーの次に序列され、「16の悪魔を指揮する偽りの神々の王である」とされている。
他の文献でも”冥府の君主”など高い地位に描かれることが多い。
蠅の王
そもそもベルゼブブが蠅の王として一躍有名になったのが、コラン・ド・プランシーの「地獄の辞典」だ。ここで描かれたベルゼブブ像というのが羽に髑髏の文様が入った巨大な蠅。このインパクトが強く、徐々にベルゼブブ=蠅のイメージが定着していった。
堕天
元熾天使でルシファーの右腕であったともされている。サタンと共に堕天し、天界戦争ではルシファーの側近として蠅騎士団を作ったとされる。
ベルゼブブと7つの大罪
キリスト教神学や悪魔学において、ベルゼブブは「7つの大罪」と深く関連しています。7つの大罪は、人間の堕落を象徴する主要な罪で、それぞれが特定の悪魔と結び付けられています。
- ベルゼブブの象徴する罪
ベルゼブブは「暴食(Gluttony)」を象徴する悪魔とされています。暴食とは、必要以上に食物や快楽を貪ることを意味し、物質的な欲望や自己満足の象徴でもあります。 - 暴食とベルゼブブの関連性
「ハエの王」という異名は、腐敗や堕落を連想させ、物質的な快楽に執着する性質を暗示しています。このことから、暴食を象徴する悪魔としての地位が確立されました。
蠅騎士団
アスタロトを筆頭に有名な悪魔も傘下に入っていた。
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